<社説>NIE月間/新聞で読解力を鍛えよう(2012年11月1日)
新聞を読む子は学力が高い。これは子どもたちと接してきた私の実感です。ジャーナリストの池上彰さんが、著書「『新聞』を読む子は大きく伸びる!」の中でそう書いている。県内でも新聞を教材に使った経験を持つ教員の多くが、同様の実感を語っている。
11月はNIE(Newspaper in Education=教育に新聞を)月間だ。この機会にあらためてNIEの効果を確認し、実践の輪を広げたい。
同時にこの機会はまた、教育に果たす新聞の役割が問われる時期でもある。責任の重さに粛然とする。子どもたちに役立つメディアたり得ているか、深く自戒し、役割を果たしていきたい。
池上さんも記しているが、ニュースへの関心と学力の強い相関関係を示すデータは豊富にある。
文部科学省が全国で実施するアンケートに「新聞やテレビのニュースに関心があるか」という項目がある。2008年の資料をみると「当てはまる」と回答した児童は「当てはまらない」児童に比べ、100点満点で国語は15点以上、算数で10点以上も点数が高い。
この傾向は世界共通だ。経済協力開発機構の「生徒の学習到達度調査(PISA)2000年」をみると、先進国30カ国平均で、「新聞を週に数回読む」層の総合読解力の平均点は518点で、「全く読まない」層の463点より明らかに高い。
新聞を読むから学力が高いのか、学力の高い子ほど新聞を読むのか、両方が考えられるが、いずれにせよ因果関係があるのは確実だ。
新聞を読む子は知識が増えるだけでなく、何かを理解したり疑問を持ったりと、考える機会が多いので頭が鍛えられる。池上さんは前掲書でそう説く。
小説や詩を読むと行間を読む力が鍛えられるが、説明文で、書かれた文章そのものを正しく読み取る力を養うのも必要だ。池上さんは、説明文の宝庫である新聞でその力が鍛えられるとも説いている。
その教材にふさわしいか、忸怩(じくじ)たる思いもわく。われわれ新聞人も責任を胸に刻みたい。
3日午後1時からは、うるま市の中原小学校で県NIE実践フォーラムがあり、全学年全学級による公開授業もある。全国でもまれな実践から得るものは多いはずだ。多彩な実践から子どもたちの学びに役立つものを大いに吸収したい。
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